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読谷北窯 第109回 窯出し


2011年9月29日。
まだまるで夏。 関東は長袖が無ければというほど涼しいのに、沖縄は夏が終わらないような気候。
本日は読谷北窯の109回目の窯出しです。
年に5回焼かれるこの窯の2011年4回目の窯出し。

まだセミが鳴き、バナナの花咲く沖縄の読谷村。
今回の窯は果たしてどうでしょうか。





いつも通り松田米司さんの工房にお世話になりつつ、各工房の仕上がりを見て回ります。

朝9時過ぎに作業が開始。


7月の窯ほどは気温が高く感じませんが、それでも熱気が充満しています。

熱気と、人が多いからか朝から蚊の大群が窯の周りに集まって来て一斉攻撃。
腕をポリポリ、足をポリポリ、いてもたってもいられません。
(もしかすると前夜、奥原硝子の上里工場長と飲み過ぎてお酒が残っていたのも原因でしょうか。(苦笑))

窯の皆さんはそんなことおかまい無し。作業を進めていきます。





徐々に窯の入り口が開き、中が覗けてきます。
親方達も合流し、それぞれの部屋のチェックを始めます。


今回も1番、2番の部屋には松田共司工房のものが詰まっています。

甕(かめ)や大皿が覗きます。

松田共司工房は約2尺(60cm)の大皿をこの窯で数枚焼いています。


宮城工房の部屋からは、壷が覗きます。


この両親方は今回の窯で大物を多く焼いていたようです。





↑真ん中が約60cmの松田共司親方の2尺皿。見事です。

指掻きの勢いが美しく、共司親方らしい1枚。さて、これはどこへ。



今回の窯は全体的に焼きが良く、どこの工房も7月窯よりも
量が沢山取れているようです。

色味も良いものが多く、中には焼きが甘いものもありますが、
全体的にはうちも好みのものが多く見られました。


いつものように少しずつ各工房に器が搬入されていきます。
時計の針はもうすぐお昼。

松田米司工房は中里(なかざと)さんが体調不良でお休みのため、
やや作業が出遅れています。
(中里さんは米司工房のエース。マカイなどをメインに担当しています。)







お昼はいつものように米司親方と工房の皆さんと沖縄そばを食べに。

この日はどの工房もお客様が多く、そば屋さんでも皆が鉢合わせ。
もともと読谷で人気のおそば屋さんですが、北窯の面々でたちまち満席。


お昼を食べながら、米司さん、息子のケンゴ君がつい先日東京へ行った話。
ちょうど台風前後に訪問できた二人。台風直撃だったら大変だったでしょう。

お店が混んでいるのでそうそうに食べ終えて、午後の作業までお昼寝。

今日は静かな読谷の村の上を米軍の飛行機が沢山飛んでいきます。

軍事演習でしょうか。それにしても低い高さを飛んで行くので音が凄い。
(暗くなるまでずっと続きました。)







さて、午後になり各工房が窯と工房を行ったり来たりますます忙しく、
そして工房の中が賑やかになってきました。


お、これは!と思うような器が沢山ありますが、
この日はあくまでも窯出しを見るだけ。

我々は器を選ぶことができません。
それは翌日。



まずは宮城正享工房。




こちらは写真左のように、工房の奥がまるでジャングル。

今回は蓋物が大充実。
かなり大型の蓋物もあります。

また、古い沖縄の器に見られるようなモチーフの皿など、普段見られない絵付けものも多数。

角皿もバリエーションが豊富でした。

当店でお客様に人気が高く、自分で使っていても本当に使いやすく使用頻度の高いワンブー。
今回も大きさや模様のバリエーションも多く、お客様に楽しんで選んで頂けそうです。




続いて、松田米司工房。




こちらはワンブーの大きめのものがとても印象的でした。
飛び鉋に打ち掛け、菊花唐草など。米司親方らしい仕事。


オーダーでお願いしていた尺皿は人気が高く、定番の柄「菊花唐草」から見事な1枚を
頂けることになりました。この柄は本当に飽きが来ない、素晴らしい柄です。

どんなお客様のお手元に届くのか、楽しみでなりません。

ちょっと面白いところでは釉薬を掛けず、素焼きの焼き締めの片口がありました。

2色あるように見えるのですが、これは登り窯の部屋の中、置かれた位置の違いで、
微妙に焼き上がりが違い、偶然生まれた色の差です。

釉薬がかけてある器と同じ土。

北窯の焼物は全てこの土から生まれています。
シンプルで力強さがたっぷりと感じられる、そんな仕上がりではないでしょうか。




最後は松田共司工房。




右端は2尺皿です。三彩の見事なものと日陰になってしまっていますが、打ち掛けの素晴らしいもの。
三彩の方は、崩れた窯の土が乗っかって焼き上がってしまいました。

これは売り物になりません。
共司さんは「チョコレートがたっぷり乗っちゃったなぁ。」なんて笑い飛ばしていましたが、
これにかけた想いや製作時間を考えると、笑い飛ばせるこの親方の器の大きさを感じてしまいます。

登り窯というやり方だからこそ生まれるものもあれば、世の中に出せず処分されるものも沢山。


共司工房は、今回かなりの数の箸置き(瓶)を作っていました。

これが釉掛けや技法のバリエーションが多く、とても賑やかで楽しいものでした。




この日は時間があったので、日が暮れる時間まで、
ほぼ全ての作業を見せてもらいましたが、
いつもながらわくわくする素敵な時間でした。





今回も、親方初め、北窯の皆さんにはとてもお世話になりました。
ありがとうございます。



尚、今回の次の入荷ですが、
第110回は2011年12月ですが、この回は入荷できたとしても少量。
もしかすると入荷できず、その次の回(2012年3月)の入荷になるかもしれません。




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