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みんげい おくむら トップページ > 過去の特集 > 2020年の特集 > 2020年新春企画 > 1月3日発売開始 読谷山焼北窯 松田共司さんのうつわ


松田共司
(北窯の日常。松田共司工房の様子。)



北窯 松田共司さんの手




ついこの前が還暦のお祝いだったと思っていたら、
松田共司さんももう65歳か、と驚いた。


沖縄のこの業界は元気な方が多いから、
まだまだ若手のように見られる親方たちも、本当は大御所だ。



北窯は四人の親方からなる共同窯だが、
それぞれの親方は弟子陶工を数人ずつ持つ、チーム、家族のようなものだ。



松田共司
(工房のみなさん。2019年、工房を引っ張る島袋さん。)



松田共司



松田共司


(2019年は親方の写真を撮り忘れた。せっかくの松田共司さん企画なのに本人の写真がない。汗)


そういう意味では、
普段販売しているうつわは、親方の目を通っているが、
手は通っていないものも多い。


それでも、安定して松田共司工房らしさがあるのがここの工房の良いところだと思っている。


2018年は、読谷村の博物館のリニューアル(ユンタンザミュージアム)で、
松田共司作陶展が行われたが、
この展示会に向けて作っていたものが、とても面白かった。


うちもそのあたりからちょこちょこと意識的に親方の手のものを買い付けてきている。

今、松田共司さんは何を考え、手を動かしているのか。



その中で、個人的に面白くて大好きなのが「白土」のもの。
ご存知の方も多いと思うが、沖縄のうつわは鉄分の多い粘土を用い、
それは焼き上がりが赤褐色になるものだ。
(通常の器類は全てその土でできている)

その粘土に、白化粧という、白い土でお化粧をしてあげて、
そこにさらに染付や色を付ける。


これは沖縄で白い土が希少だったからで、
例えば瀬戸なんかは白い土が出るので、瀬戸本業窯の器なんかは土が白い。


この希少な白土を使ったものは、
そうでないものと比べて、形の雰囲気、発色がまるで違う。


簡単に言えば、
形にはシャープさがあり、発色はパキっとしているのだ。

親方はよく酒器でこれを使う。
小さいものだが、その小さな世界に魅力がギュッと凝縮するのが好きで、
なんどもなんどもこれを頂いている。



松田共司
(親方の参考資料。沖縄の古作の名品が工房のあちこちに。)



2019年は12月の窯で、読谷の陶器市に向けてそんなものや、
また違ったものを作っていたが、
案外陶器市ではこういうものは見過ごされている。


そこで、白土のもの。
普段の土だけど親方が力を入れて作ったもの。
あるいは民藝の世界とはちょっと違う抹茶碗。
そんなものを買い付けている。


普段の土のものは大皿やウニヌティー、など、
これでもかと技術や表現が詰まったものだ。

珪石入りのものも同じくたまにしか焼かれないもので、
これもすこぶる良い。


面白いのは抹茶碗だ。


これは焼き上がりにイメージがある。
形や色を作り込み、登り窯に入れる。
どこに入れて、どんな風に焼くか。
かなり意図がある。

例えば、"抹茶碗 白化粧"という二点は全く同じ土と化粧土と透明釉だが、
焼き上がりの風合いが全く異なる。


背の低い夏茶碗は比較的温度の低いところで焼かれた「甘め」のもの。
もう一点の方はしっかり高温で焼かれパキっとした白化粧の表情になっている。



松田共司
(2019年の第二回目の窯出しから。工房定番のうつわたち。)


普段のうつわはある意味「窯任せ」だが、
抹茶碗はその窯の癖や窯焚きのイメージを先に持って作られる「意図」したもの。


それも面白いでしょう。



そんな風に、一つのものをあれこれと考えながら見てみるのも楽しいもんです。



北窯とのお付き合いも10年



2010年の7月にみんげい おくむらがオープンした。
その最初からお付き合いをさせて頂いている。

10年経って窯にはいろんな変化があった。


お弟子さんの顔ぶれは10年前とは9割がた違う(長くても10年で卒業する人が多いから)。


親方たちも皆65歳をこえている。



松田共司
(13連房の登り窯。この巨大な窯に火を灯し続けるのは容易ではない。)



チームで作る普段のうつわも相変わらず魅力的だが、
ときにはこんな風に親方のものだけをあえて見てもらうのも、
面白いと思うのだが、どうだろうか。


今年もいつも通り四回の窯焚きを見に行く。
一年間、楽しみだ。


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