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堀内果実園訪問記2013年夏
2013年7月13日。梅雨も明けていよいよ夏、という時期に奈良県の五條市の堀内果実園に二度目の訪問です。
5月、渋谷ヒカリエのイベントでも好評だった堀内さんのところのドライフルーツ。
美味しいから、ということがもちろん大事ではあるのだけど、それがどうやって作られているか、
なぜ美味しいのかを知る事が今とても大事で、日常当たり前の食材選びもこうした信用出来る生産者から
手に入れたいと思うし、また、そうして選ばれた食材を同じように地域に根ざして作られた道具と
ともに調理し、食卓を成立させたい、と思っています。
堀内さんに出会って、僕自身の食材選びは少しだけ上手になったかなと思っているし、
非効率的なことをわざわざしても、かえってそれが良い方向に向かっていくと自信をもっている
そんな作り手を知り、つながっていくことの嬉しさときたら。
堀内さんの農園があるのは奈良県五條市。嫁いできた奥さんが「ごじょう」と聞いて京都の五条と勘違いしたとか。
なんでこんな田舎?と最初はびっくりしたんだそう。
和歌山県にも大阪府にも隣接したこの市は日本有数の柿産地。
もちろん堀内さんのところも柿がメインです。
収穫まで各シーズン伺いますよ、と約束した今回が二回目の訪問。前回はまだ柿の葉が若々しく、フレッシュだった春。
「2、3こ一気に食べてみてくださいね。」
今回も柿の畑に急ぎたいところだが、グッと気持ちを抑えてまずはブルーベリー畑へ。
このブルーベリーも、ドライフルーツのミックスにしか使われていないのだけど、なかなかの名脇役。
前回訪問時はスズランのような花がいっぱい咲いていたが、今回はもう収穫間近。
収穫の一番最初の時期は一番大きい実が穫れるのだと聞きながら早速の収穫体験。
大粒の紫色は実に魅惑的な色。そして何より嬉しいのがこの果実は何のテクニックも要らず素人が
次々に収穫していけること。収穫用に、と持たされたパックへ入れる間もなく口に吸い込まれていく。
甘酸っぱいジューシーな実。奥さんが「2、3粒一気に食べるともっと味がわかりますよ。」と。
パックのブルーベリーならもったいなくてできないそんなことがし放題。2、3と言わず、4、5ほど口に放り込む。
なるほど。これは違う。口のあちこちに甘さ、酸っぱさがほとばしる。手、口、鼻で感じ取る。
「リンゴみたいに大きいでしょ。」
続いて、スモモの畑へ。
前回はわずかに実ができかけてきていたこの畑も今は収穫のまっただ中。
8月上〜中旬まで続くそうですが、既に真っ赤に熟したスモモがなんとも麗しい。
完熟で下に落ちたものまで美しい。(ページ上部の写真がそれです。)
あるものはカナブンに吸い尽くされ、あるものは枝ごとこぼれ落ちてしまいそうなほどに。
全て自然の力。
ブルーベリーもそうだが、こんな完熟のこんなに素晴らしい青果がドライフルーツになってしまって
良いのだろうか、となんだか不思議な気持ちにもなる。(食べればドライフルーツも納得な味なのだが。)
言われた通り、本当にリンゴほど大きなものもある。赤く、どこまでも美しいスモモたち。
ゆっくりと、着実に。
ブルーベリーやスモモと違い、柿はすこしゆっくりだ。
10月から11月の収穫に向け、夏もじっくりと実が育っていく。
上の写真、春にも撮影した100年越えの大木。春先はまだ葉っぱがちょろちょろで、
木の幹や枝の方が目立っていたのに、雨上がりのこの初夏は緑の葉の力強いこと。
初夏で、快晴の昼間、もちろん日差しはキツい。30度以上あるであろう気温。
この100年の柿の大木の下に入ると、山に吹く風、そして葉でできた日陰が随分涼しい。
見上げれば雨上がりの葉の美しいこと。そして徐々に大きくなる果実。
奈良の特産品に柿の葉寿司があるけれど、この山の大量の柿の木と、美しい柿の葉を見ていると、
なんだかそれが産まれたことがとても自然に感じる。
きっといろんな人がこの柿の力を色んな形で分けてもらったことだろう、と。
実は、事前の電話で堀内さんから訪問したい日程がちょっと端境期で
あまり面白いものが無いかもしれない、と言われていましたが、なんのなんの。
これだけ豊かで美しい姿を見せてもらって、こちらは大満足。
食品、食材が溢れかえるこの時代、僕らは目新しいもの、変わったものを追いがちだけど、
どこかの国の珍しいものもそれはそれで面白いけど、我々の旬を知り、土地を知る事は今改めて豊かな姿だと思う。
お昼がてら伺った地元のインドカレー屋でもご主人と堀内さん夫妻は食材の話。
「…が〜作ってるけど、試した?」「これ、うちの試作、良かったら…」。
住宅がひしめき合ううちの地元の町では聞いた事もない会話。
偶然の瞬間なのだけど、ますます楽しい。
そのまま食べても抜群に美味しいフルーツをわざわざ、本当にわざわざドライフルーツに
している堀内さんに益々興味が湧いてくるばかり。
晩秋の柿の収穫の頃、畑はどうなっているでしょうか。
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