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中国雷山県の焼き物



中国 貴州省 雷山県の焼き物




現代中国に、どれだけ日常雑器の窯元があるだろうか。

景徳鎮や福建省の潮州はよく知られた窯場だが、
いずれも大量生産の磁器で面白みに欠ける。

茶壺で知られる宜興は決して雑器の産地ではない。



僕が中国を這いずり回って、今面白いなと思う窯はほんの数カ所。
そのうちの1つが貴州省、雷山県の窯場だ。


規模や内容でいうと、日本の小鹿田焼を想像してもらえればと思う。


雷山というのは町も日田のような感じ、と言って良いだろう。
観光を軸とした小規模な町だ。


町の中心から外れ、少し行くと窯場の集落がある。
街道沿いからも窯場、ろくろ場が見えたりする。


中国雷山県の焼き物
(雷山の窯場の集落。貴州省の伝統的な家屋や、狭い土地に段々畑が印象的。)




雷山は近年はお茶の生産に力を入れているが、中国で全国的にこの町がメジャーかというと、
そうでもない。


中国雷山県の焼き物


だが面白いことに、貴州省全土にここの焼き物は広がっていて、
街中の食堂では未だにここの焼き物をよく見かけるのは実に嬉しいことだ。
飴釉か透明釉がシンプルに掛けられた丼や取り鉢、小鉢、皿。
写真は貴州省の冬の名物でもある犬鍋の専門店。取り鉢など全て雷山の焼き物。




雷山の焼き物の特徴




この雷山の焼き物の特徴は、といえば「シンプル」。
2種の釉薬のみ。


中国雷山県の焼き物


そして大物以外は型で成形されるのが特徴だ。
未だに主力は酒甕など大きなもので、食器は近年に注文が増えているという。
以前は全てろくろ成形だったそうだが、数を作る工夫の中で型物が増えていったそう。

現在はろくろでは、酒甕や茶壺、ポットなどが作られるという。



窯は登り窯で集落に5つ。
個人窯と共同窯、という感じらしい。
確認したところ、どうも個人窯が2つ。共同窯が3つ、だろうか。

中国雷山県の焼き物
(こちらは共同窯。丸太の支えと簡素なトタン屋根。素朴な窯場の象徴的な姿。)



共同窯は6つの部屋をもつ登り窯が3つ。
それぞれ、4家族から6家族で1つの窯を使っているという。


酒甕などを主力で焼く窯なので、部屋は大きい。
大人が部屋内で立って作業できるくらい大きな部屋。


中国雷山県の焼き物
(ある共同窯の窯出しから。ちょうど酒甕がたくさん焼かれていた。)



窯焚きのペースは窯ごとに違うが、年6、7回が平均のよう。
窯焚きは大きな窯で三日三晩。


土は地元のものを使う。
窯場周辺の土がとにかく粘土質のものが多く、原料には困らないそうだが、
単一の土では具合が悪いので、近隣のもの含め、
茶っぽいもの、黒っぽいもの、赤っぽいもの、などいくつかをブレンドする。


釉薬ももちろん手作りだ。
灰をベースに各家で作っているという。


窯焚きの薪は雑木で、日本の窯場のものよりも見るからに質が悪そうだ。
古い家の取り壊しが多いので、そういった木も手に入れて薪を確保しているそう。

窯焚きは1,200度後半を狙う。
窯の上部は1,300度を超え、下部は1,200度程度になることが多いため、
重ね焼きでも(型物なのでなんと50枚ほどを重ねて焼く!)、上下でかなり
焼きの風合いが違うのが面白い。


上は焦げ焦げ、下は甘あま。という感じ。


中国雷山県の焼き物
(窯出し中。見事に下は焼きが甘い。釉薬が溶けていないものはさすがにはじかれて、捨てられる。)



雷山の焼き物の注意点




基本的に検品が雑だ。
というか、日本とは大きく基準が違う。

よっぽど歪んでいたり、高台が欠けていてぐらんぐらんだったり、
上下の器がくっついていたり、というものは弾かれるが、


多少のゆがみ、釉薬の飛び散りや、釉薬の掛かりが悪いもの、
あるいは焼き強めで焦げ焦げ、弱めで甘々。ぐらいは良品だ。


中国雷山県の焼き物
(旧正月前の最後の窯焚きを終えて、検品中の夫婦。若い人たちもまだまだいる。ずっと残ってもらいたい姿。)



うつわは1束10個から20個が紙テープか縄でしばられ、
ガサッと出荷される。


庶民的な食堂でもそういったコンディションのものを普通に使っている。


僕はそれがとても面白いと思っている。
「使える」というところにギリギリのラインがあって、
決して「良いもの」を良品にしようということではないのだ。


かつて日本の窯場もそうだったはずだ。
登り窯の窯では未だにいろんなコンディションの焼き物が出るが、
それが登り窯の焼き物の個性であるのに、どうしてか窯元も検品の精度が高い。
理由は簡単で、「クレームがくるから」だ。


窯元もこういったものだと言い続ける努力が必要だし、
僕ら販売をするお店側はさらにその努力が必要だ。


そういう面白さを失ったら、別に登り窯である必要がないのだ。


ということで、この焼き物に関してはある意味で挑戦的に、
現地の検品(に最低限のうちの検品)で良品を定めている。
そのことはどうかご理解いただきたい。


この窯場に残る、焼き物の原風景のような空気を感じてもらえればこれ以上なく嬉しい。






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