HOME
会員登録
みんげいおくむらとは
ご利用案内
レビュー
お問い合わせ
窯名や作家名で器を選ぶ
ブランドで選ぶ(生活道具)
民藝を産地で選ぶ
素材で選ぶ
用途で選ぶ
ゲストさま、みんげい おくむらへようこそ!
ログイン
みんげい おくむら トップページ
>
エッセイ (みんげい おくむら奥村忍)
>
中国手仕事紀行の向こう側
> その換気扇
その換気扇
2016年の5月だった。
雨が多い貴州省だが、この旅の間はずっと降られた。
僕の通訳兼ガイドであるビリーとは四度目ぐらいの旅だったろうか。
僕がなるべく公共交通機関でローカルにローカルに入っていきたいとわかってくれて、
それを楽しんでやってくれるようになった頃だった。
その日は貴州の山間部を藍のろうけつ染めの作り手を訪ねて旅をしていた。
午前中に一つの村を周り、
山道の途中で昼食を取った。
雨の中歩き回るのは好きじゃ無いが、
雨が森を濡らすのは風情があって大好きだ。
ここは目の前が川で、
川の向こうにもちょうど集落があって(上の写真がそれ)、
その上は棚田になっていた。
そこで入った食堂は貴州の田舎にありがちな、
メニューがなく、
冷蔵ショーケースに野菜や肉、川魚が並び、
お客さんと店の人が話しながらメニューを決めていくスタイルの店だった。
山の野菜や山菜があったので
僕らは鍋を作ってもらうことにした。
(大好物は食材のみならずこの竹かご)
(これは木姜子(ムージャンズ)。貴州料理には欠かせない山の胡椒のようなハーブのようなもの。)
せっかくだから、と調理風景も撮らせてもらう。
苗族の母と娘だろうか、
女性が切り盛りする食堂だった。
(カメラを向けたのでちょっと緊張気味)
(貴州省雷山県の焼き物が使われている。それだけでこの店を選んで正解。)
あれ?
驚いた。
この店、キッチンに窓がない。
開けっ放し。
表向きは完全に普通の食堂なのに、
キッチンが外にオープン。笑
どういうこっちゃ。
そして、なぜその換気扇。
果たして必要があるのかどうか。
もっと雨の強い日だったらこのキッチンはどうなってしまうのか。
もともとほんとに窓がなかったのか。
色々考えてしまったが、
そうこうしているうちに鍋と、
やかんに入った地の焼酎が出てきた。
(焼酎はこのエリアは米がよく取れるので米焼酎が多い)
運ばれてきた鍋は、
紅酸湯(発酵トマト汁)ベースの鍋だった。
そこにたけのこ、わらびといった山菜から、
香菜、セロリ、木姜子、など香り高い野菜やハーブ系がどっさり。
雷山の鉢にはタレ。
貴州の鍋はこうしてかならずタレ材料が付いてくるので、
(唐辛子は燻製したもののパウダーでこれは辛味もあるが出汁的な存在)
まず鍋のスープをここにちょいと入れて、まぜまぜしてタレを作っておいて、
豆腐などをちょんちょんつけて食べるのが流儀。
文句なしにうまい。
そして焼酎も米も進む。
その時は食べて飲んでしているうちに換気扇のことなどどうでもよくなったのだが、
後になって何度も思い出した。
果たしてその換気扇は何だったのだろうか。
もしまたここを通りがかることがあれば
また入ってみたい。
だけど、もう通ることはないかな。
旅の一期一会ですね。
現在登録されている商品はありません
その換気扇
2016年の5月だった。
雨が多い貴州省だが、この旅の間はずっと降られた。
僕の通訳兼ガイドであるビリーとは四度目ぐらいの旅だったろうか。
僕がなるべく公共交通機関でローカルにローカルに入っていきたいとわかってくれて、
それを楽しんでやってくれるようになった頃だった。
その日は貴州の山間部を藍のろうけつ染めの作り手を訪ねて旅をしていた。
午前中に一つの村を周り、
山道の途中で昼食を取った。
雨の中歩き回るのは好きじゃ無いが、
雨が森を濡らすのは風情があって大好きだ。
ここは目の前が川で、
川の向こうにもちょうど集落があって(上の写真がそれ)、
その上は棚田になっていた。
そこで入った食堂は貴州の田舎にありがちな、
メニューがなく、
冷蔵ショーケースに野菜や肉、川魚が並び、
お客さんと店の人が話しながらメニューを決めていくスタイルの店だった。
山の野菜や山菜があったので
僕らは鍋を作ってもらうことにした。
(大好物は食材のみならずこの竹かご)
(これは木姜子(ムージャンズ)。貴州料理には欠かせない山の胡椒のようなハーブのようなもの。)
せっかくだから、と調理風景も撮らせてもらう。
苗族の母と娘だろうか、
女性が切り盛りする食堂だった。
(カメラを向けたのでちょっと緊張気味)
(貴州省雷山県の焼き物が使われている。それだけでこの店を選んで正解。)
あれ?
驚いた。
この店、キッチンに窓がない。
開けっ放し。
表向きは完全に普通の食堂なのに、
キッチンが外にオープン。笑
どういうこっちゃ。
そして、なぜその換気扇。
果たして必要があるのかどうか。
もっと雨の強い日だったらこのキッチンはどうなってしまうのか。
もともとほんとに窓がなかったのか。
色々考えてしまったが、
そうこうしているうちに鍋と、
やかんに入った地の焼酎が出てきた。
(焼酎はこのエリアは米がよく取れるので米焼酎が多い)
運ばれてきた鍋は、
紅酸湯(発酵トマト汁)ベースの鍋だった。
そこにたけのこ、わらびといった山菜から、
香菜、セロリ、木姜子、など香り高い野菜やハーブ系がどっさり。
雷山の鉢にはタレ。
貴州の鍋はこうしてかならずタレ材料が付いてくるので、
(唐辛子は燻製したもののパウダーでこれは辛味もあるが出汁的な存在)
まず鍋のスープをここにちょいと入れて、まぜまぜしてタレを作っておいて、
豆腐などをちょんちょんつけて食べるのが流儀。
文句なしにうまい。
そして焼酎も米も進む。
その時は食べて飲んでしているうちに換気扇のことなどどうでもよくなったのだが、
後になって何度も思い出した。
果たしてその換気扇は何だったのだろうか。
もしまたここを通りがかることがあれば
また入ってみたい。
だけど、もう通ることはないかな。
旅の一期一会ですね。