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松田共司のウニヌティー




沖縄の形、ウニヌティー



北窯の松田共司(まつだきょうし)さんにたまにお願いする、ウニヌティー。

聞き慣れぬ言葉の響き。
ウニヌティーとは沖縄の言葉で「鬼の腕」のこと。
(タワカサー、ターワカサーと呼ばれることもある。)
焼き締めの徳利のことだ。


古くは徳利としてはもちろん、武器としても使われることもあったという、
沖縄の古くからの道具で、
その形、そして表情は、 骨董ファンにも愛される独特の美しさがある。


焼き締めの徳利なので、酒の貯蔵、熟成に長けているけれど、
花入、花生として、花器としても人気が高い。


どう使うにせよ、
形の美しさや窯の火によってついた火色や、
「ふりもの」と呼ばれる灰や土の付着物によって、
独特の景色が生み出されるので
それをじっくりと楽しんでもらいたい。



松田共司さんのろくろ



これを共司さんにお願いするのは訳がある。
当代、このような昔からの形を作る作り手がそもそも少ないのだが、
数少ない作り手の中でも、ろくろがピカイチだと思うのが共司さんであり、
共司さん自身が常に美しいものを求めつづける作り手だから、お願いがしやすい。


沖縄の伝統というところで言えば、
共司さんが挽く、渡名喜瓶(となきびん)、嘉瓶(ゆしびん)、カラカラ、チューカー、
あたりはどれも絶品だ。
用途としては本来からは遠ざかるものもある時代だが、
形だけでも今なお生き生きと美しく生き残っているのがせめてもの救い。


松田共司のウニヌティー
(窯出しの日、出てきた焼き物を見ながら共司さんと。2020年の12月窯より)




窯焚きに関して言えば、
荒焼(あらやち)が生活の道具として当たり前だったかつての時代は
あまり気にして焼かれることもなかっただろうが、

今はこういった道具は窯の中で「あえて」の場所に置かれる。
つまり、火が当たり、良い景色が生まれやすい場所だ。

毎回の窯焚きに、松田共司さん本人が挽いたもので、
窯のここに置いたら面白いだろう、と窯詰めされるものが少しだけある。

意図の通りにいってもいかなくても、一期一会の表情で焼かれて出てくる。


松田共司のウニヌティー
(窯の部屋奥には棚が組まれ雑器や油壺が並ぶ。ウニヌティーは棚の前に並べられた。窯のやや上部、火の通り道に。)


ウニヌティーもそういった類のもの。
施釉されるものがほとんどの上焼の北窯であえて焼かれるこの焼き締めの徳利。
(注:共司さんのものは少々釉掛けしてその表情を楽しむものもある)


共司さんが現役のうちにあと何本お願いできるかはわからないが、
折を見てお願いしたい、少し特別感のある道具。


未来、数世代先に共司さんのウニヌティーが受け継がれていたらいいな、と願う。


松田共司のウニヌティー
(釉薬が流れすぎてしまった大物。朝鮮を意識したものだろうか。共司さんのこの手のものもすばらしい。)




(本ページの撮影:松浦麻耶)


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