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絣(かすりの)という織物の特徴



 「かすり」は30もの工程を経て織り上げられる。

なかでも重要なのが「くくる」・「そめる」・「おる」。
これらの過程でズレがでる。
このズレが擦れて見えるので「かすり」と呼ばれるようになる。

そして、このズレこそが「かすりの美しさ」と言える。
ズレは技術が未熟だからとも言えるが、誰がやってもそうならざるを得ないことは必然。

熟練の技術と自然の擦れが加わり日本的な「美しいかすり」が生まれる。
織手は柄がズレないように集中して織り上げるが、そのズレが「かすり」の持ち味とはおもしろいい現象。





絣(かすりの)を"くくる"



何十本も束ねた糸を、部分部分を糸でくくる。

一見、無造作にくくられたような「かすり」の糸はこの状態でみてもきれい。
この「くくる」という作業はかすりを織り上げる行程の中でも重要な作業。
はじめに柄に合わせて「くくる」のだから、綿密な計算の上にこの作業は行われている。

この「くくる」部分が防染となり藍色と白のコントラストのきれいなかすり糸となる。




絣(かすりの)を"染める"



藍の原料の蓼藍(たであい)は、中国から日本に入ったのは室町時代。
その後、長い年月をかけ全国に藍染めは広がり、1750年ごろには久留米でも盛んに藍染めされるようになる。

明治に来日した外国の学者達からは「この日本は、神秘なブルーに満ちた国」と絶賛される程、日本に定着した。

その藍染めは現在でも当時と変わることなく同じ手法の天然藍のみを発酵させ、
かせ染めによる染色が久留米かすりの生命線とまでいわれている。





絣(かすりの)を"織る"



かたん・ことんと日本昔話でも登場するような織機が久留米かすりの現場では現役なことは珍しくない。

その昔は、各家々でおばあさんが・お母さんが家族の事を想いながら大切に織られたかすり。

現在では機械での生産も多いが、糸一本一本を機にかけ、
たて糸・よこ糸の柄をずれない微調整して大切に丁寧に織り上げる。

交差するたて糸・よこ糸の重なりによって立体感が生まれ、かすり独特のかすれと共に風合い豊かな生地をつくり出す。



(画像・文章協力:GOOD WEAVER(株式会社グッドウィーバー)幸田 修治さん)

民芸と呼ばれる織物の中では、比較的にまだ買いやすく、また世界中で作られている絣。
いろんな絣を使って比べてみるとそれぞれの特徴が際立ってまた面白いものです。


最後に、外村吉之介著『少年民藝館』にはこうあります。
「絣の織物は世界中で昔から盛んに織られました。
絹、木綿、麻、芭蕉などのものがあり、西洋には毛のものもあります。

絣は糸の一部分を括って、色が染まらないようにしておいて色を染め、
括ったところを白い柄の絣にします。
ですから、世界中どこでも、糸を染める人が自然に思いついて始めたものです。

インドも絣のはじめは、そのように起こりましたが、
二千年ほどの間に、絹や木綿の精巧な美しい絣ができ、
今日でも世界に類のないよいものを作ります。

中南米グワテマラは、藍染をやっているうちに絣の技を
見つけて盛んに仕事をしているのです。
(以下略)」


できれば当店でも少しずつ世界の絣を集めていきたいと思っています。


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