みんげい おくむら トップページ > 民藝に関する読み物 > 民藝ことはじめ
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「みんげい おくむら」では「民藝」という言葉や考え方を
色んな方にもっと知ってもらいたいと思っています。
ちょっと堅苦しいところもありますが、是非一度読んでみて下さい。
民藝がもっと楽しくなります。
民藝とは、「民衆的工芸品」の略です。
名もない職人たちが、日々使う庶民の生活道具のためにつくった民藝品には、
「簡素で飾らない健康な美しさ」=「用の美」 があり、
この「用の美」こそ、「民藝の美」なのです。
この民藝という言葉は、昭和初期、柳宗悦(やなぎ むねよし)という宗教哲学者によって
最初に使われました。
いわゆる美術品や、鑑賞のための工藝品にはない、
使われることを前提にした健康的な美がそこに見いだされました。
それは紛れもなく新しい「美」の発見だったのです。
彼以前には、ありふれた日用品が美しいと言う人はいなかったのです。
※民藝品の代表例。左上から時計回りに、大皿、花むしろ、ガラス、鳥かご。
そして、彼を中心に、その価値を広めるべく、
1926年に「日本民藝美術館設立趣意書」が発表され、日本の民藝運動が始まります。
この趣意書は、柳宗悦、富本憲吉(とみもと けんきち)、河井寛次郎(かわいかんじろう)、
浜田庄司(はまだ しょうじ)の連盟で発表されています。ここに、英国人のバーナード・リーチを
加えた5名が主立った初期の民藝運動の参加者です。柳以外は全員が陶芸家です。
(富本は後に離脱。同じく青山二郎も初期のメンバーでしたが離脱。)
後には、染色の芹沢_介(せりざわ けいすけ)、版画の棟方志功(むなかた しこう)、
木工の黒田辰秋(くろだ たつあき)らが参加しました。
また、民藝運動は、アサヒビールの創業者の山本為三郎(やまもと ためさぶろう)、
倉敷紡績の経営者の大原孫三郎ら積極的な支援者(パトロン)に大きく支えられました。
こうして民藝運動はその規模を拡大していきます。
※山本為三郎の私的なコレクションを集めた大山崎山荘(京都府大山崎町)。
山本と柳宗悦が構想を練って作り上げたリーチバー(大阪リーガロイヤルホテル)。
柳達の民藝運動に連動するように、1950年代後半から70年代にかけて
「民藝ブーム」と呼ばれる現象が起きます。
日本が高度経済成長に入ったこの時代、伝統文化やその背景にある山村の風景などが失われて行く一方、
そうした文化や風景が注目されていき、その中で気軽に消費して楽しめるのが「民藝」でした。
現在「民藝」という言葉を聞くと、「おみやげ」とか「ダサい」とかいうイメージがあるのは、
この時期に、ただ日常の道具を作っていた生産者達がこぞって「民藝」作りをしてしまった結果、
それ「風」(ふう)の物が増えたり、またブームが去ってもいつまでも同じようにお店に並んでいたため、
なんとなく民藝という言葉が俗化、陳腐化してしまったためでしょう。
こうした背景や民藝運動自体の複雑化もあり、徐々に世間の目が遠のいていきます。
近年、雑誌メディア等で民藝が見直され、小さなブームが散見されるのは、
柳宗悦の息子、柳宗理(やなぎ そうり)の影響が大きいためです。
民藝運動の創始者、柳宗悦は良い工芸は手仕事から生まれると言ったそうです。
しかし、2010年の我々からすると、手仕事の生活道具だけで暮らすなんてとても考えられません。
民藝運動が出発した1920年代から、生活様式は激変し、
我々は紛れもなく大量生産の工業製品の時代に生きていますから。
そうした現実と、過去の民藝運動をつないでいるのが柳宗理の考え方やデザインです。
柳宗理は「民藝」という機関誌の連載の中で、
「ブラウンのシェーバー」や「登山靴」といった工業製品寄りのものを紹介しています。
こうしたものも「用の美」を備えているというのはなんとなく現代生活を営む我々には納得できるものです。
こうして柳宗悦が生み出したものを息子である柳宗理が今につなげてくれているのだと思うと、
なんとも素敵に思えるものです。
そしてまた、なんとなく民藝という言葉の取っ付きにくさや難しさがやわらぐような気がします。
「みんげい おくむら」では、他の本や生地などにも多く書かれていることですが、
結局のところ、民藝運動は「視点の運動」であったのではないかと思っています。
1つには、健康的に働く道具を使った生活が我々の心や生活を豊かにするという視点。
もう1つには、今まで注目されてこなかったものの中に「美」を見いだすという視点。
我々はこの2つの視点を持って日々を過ごしていくことで
より我々らしい精神的、経済的に豊かな生活を送れるようになるのではないかと。
最後になりますが、「民藝」なのか「民芸」なのか。
どちらが正しいのか?どちらを使うべきなのか?
わからない方が多いと思います。
答えは、よくわかりません。
そもそも「藝」と「芸」は意味が違う漢字なので使い分けている、という意見もあれば、
なんだか混ぜこぜに使っている本や雑誌など、色々あります。
「みんげい おくむら」は先に書いたようにこの運動が与えてくれた
視点が大好きです。もの選ぶときに、この視点を持っているとすごくもの選びがシンプルに、
そして楽しくなります。
だから、漢字の細かいところにはこだわらずひらがなの「みんげい」を選びました。
※「みんげい おくむらについて」はこちらをご覧下さい。
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