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龍門司焼陶器祭

龍門司焼(鹿児島) 第30回陶器祭


2011年12月9日〜11日。
鹿児島県姶良(あいら)市加治木(かじき)町の龍門司窯にて、
第30回の陶器祭が開催されました。


400年を超える歴史を持つ伝統の窯ですが、このように一般に開かれた陶器祭は30回目。


今年は30回という節目の年。
9月にこの窯を訪問した際に窯の代表の川原史郎さんにお誘いを頂きました。
ただのお祭りならわざわざ鹿児島まで行かないのですが、
川原さんと、鹿児島の白薩摩の15代沈壽官さん、
お世話になっている小代焼ふもと窯の井上泰秋や小石原焼の太田哲三さんが見えて、
4人でパネルディスカッションをやったり、その後の酒宴がまた面白いと聞いていたので、
是非とも、ということで参加させて頂きました。


当日の朝に羽田を出て、飛行機は鹿児島へ。
鹿児島空港から龍門司窯は近いのですが、公共交通機関でのアクセスは難しい距離。
タクシーを飛ばして一路窯へ。





快晴の会場には出店も出て、なかなかの賑わい。
出店も地元の農産物や食品を売る店が多く、また来場の一般のお客様も地元の方が多く、
いかにこの窯が地元で愛されているかがよくわかります。


龍門司窯は伝統を持つ民窯(みんとう)で、柳宗悦氏にも高く評価された窯ですが、
広くそれを流通させようと積極的に働きかけてきた窯ではないので、
全国各地のお店で見られるようなメジャーな存在ではありません。

当店では、この窯の中では三彩、黒釉青流し、呉須釉、飴釉など一部の仕事を
取り扱っていますが、伝統的にはかなり多種多様な釉薬を使う窯であることが、
このお祭りの中でもよく見て取ることができます。




パネルディスカッションでは、「伝統」をテーマに、
過去・現在・未来と3部の構成で話が進められました。
かなり白熱し、会場のお客さんも一緒になり熱い議論がなされました。




ここからは極めて私見ですが、
それぞれの窯には跡取りもいますが、今現在焼かれている物をそのまま焼いているだけでは
きっと存続していけないでしょう。

伝統産地の窯と言えども決して安泰な状況ではないのが現状です。




その中で貴重な資産として今までの歴史や土地が培ってきた技法や形状を知り、
今や未来の生活に合うよう、時に柔軟な変化をしていけないと窯を守ることはできないはずです。

我々のような窯を知り、使う方へそれを伝える「配り手」と窯とが更に良い関係の中で
時に叱咤、激励し、高め合っていくことの重要性を益々感じた時間でした。




龍門司の器を使った地元の郷土料理を頂く。


ディスカッションが終わり、夕方を迎え、3日に渡る陶器祭もいよいよ終了です。
片付けをしつつ、窯場のいろりの周りに人が集まり、宴会の準備が始まります。




ディスカッションを終えた太田さんや井上さんと色々またお話し、
鹿児島での買い付けを終えた後、北上し、熊本の井上さん、福岡の太田さんの窯を
巡ることをまたお約束したり。

そんなことをしているといよいよ宴会が始まります。
川原さんを始めその息子さんや陶工の猪俣さんら中心メンバーに、
パネルディスカッションのメンバー、地元の名士、近所の方、
友人知人、いろんな人が集まってきて、窯場は大賑わい。

火を囲み、乾杯の音頭で賑やかに宴が始まります。




肴はもちろん、川原さんの奥様やお手伝いの女性陣が作る、
鹿児島の地元の素材を使った料理など。

窯場に数十人が集まり、その人達が皆龍門司の器を使っている訳ですから、
それはそれは迫力のある宴会です。

そして、シシ鍋や豆腐、野菜など地元の素材がふんだんに使われた料理は、
寒く冷えた加治木の夜、体と心に染み渡ります。
皆、鹿児島の男らしくビールもそこそこに芋焼酎のお湯割りを、
これまた大きめの湯呑みにたっぷりと作り、朗らかに談笑します。







その頃ワタクシはと言うと、千葉からのゲストということで珍しがられ、
かなり地元の方達と濃い時間を過ごしました。
そして川原さんの息子さんであり窯の主力の陶工である竜平さんと
色々な話をしました。


少し自分よりも年齢が上の竜平さんは、非常に背が高く迫力があるのですが、
父親譲りの端正な顔立ちと、落ち着いた話し方で、
穏やかに窯の話を聞かせてくれます。


まだまだ話足りないので、それは次回、と約束をし、
この日はお開きとなりました。



龍門司窯の陶器祭の30年。
本当にここ最近始まったおつき合いながらこんな席に呼んで頂き、
嬉しい限りなのですが、このお祭が50年を迎える時、
その喜びをもっと深く分かち合いたいと思うばかりです。


加治木を離れ、宿のある鹿児島へわずかばかりの電車の旅をしながら、
龍門司窯の歴史、地元の方の愛、これから。
そんな色々に思いを馳せる寒い12月の夜でした。