民藝の宝庫沖縄で今も作られる民藝、手仕事の生活道具。わらびかごややちむん、それに各種民具。みんげい おくむらが現地をまわり集めてきた宝物です。
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沖縄の宝物
2011年は沖縄を度々訪れました。
沖縄には素朴で力強い民藝や手仕事があります。
暮らしの色々な価値観が揺らぐ時代だからこそ、自分自身で確かなものを選べるようになりたい。
沖縄にはそのお手本のような手仕事が沢山残っています。
2011年12月、沖縄を回って選んできた確かな手仕事をご紹介します。
やちむん(沖縄の焼物) 読谷山焼北窯
琉球王朝時代から続く歴史、そしてそこに宿る「用の美」。
素晴らしい窯元がいくつもある沖縄の中で、
みんげい おくむらはたった1つ「北窯」の器を扱います。
手と土と炎とが生み出すこの生活道具は、
世界でも他に何処にも無い確かな沖縄の個性を持ち、
またそれが私たちの今の生活にすっと馴染みます。
「北窯」は陶工の先達がやってきたことを受け継ぎ、
それを今の生活に活かす素晴らしいもの作りをしています。
松田米司工房で年に一度の「赤絵」が焼かれます。
縁起柄が描かれたこの赤絵は通常の倍の手間をかけて、
ごく少量だけ焼かれたものです。
眺めているだけで顔がほころぶような、
元気いっぱいのやちむんを、
食卓の真ん中に置いてみてはいかがでしょうか。
人口一万人にも満たないこの村で、
今も編まれる沖縄独特の「かご」があります。
沖縄でわらびと呼ばれるシダの一種で作られたこのかごは、
大らかで他のどんな素材とも比べがたい豊かな表情を見せます。
かつては県内各地で編まれていましたが今は編み手がほとんどいません。
戦後は各地から那覇の市場にかごを売りに行ったそうですが、
リゾートホテルなどの乱立で山が壊され、原料は減り、
また生活の変化から需要も減り、編み手は激減しました。
今帰仁村の数名の編み手から少しずつ分けてもらう稀少な手仕事。
水に強く、長持ちするこのかごは実用にも優れ、
また見た目にも独特の味わいがあり、まさに手仕事の生活道具のお手本。
琉球ガラスと名乗るには決まりがあるようでないのが実情。
過去の歴史に乗っ取り、再生ガラスをベースに、
やや厚手で手仕事らしい素朴さと健康さを残し、
また生活道具としての値段をきちんと守る、
そんな琉球ガラスもまだあります。
泡盛の瓶の再生ガラスを使ったガラス工房「清天」。
適度な厚み、手作りならではの温かみ。
ガラスという素材の冷たさや怖さがありません。
琉球ガラスはガラスなのに暖かい印象です。
「奥原硝子製造所」は、
廃瓶に月桃という植物のエキスで色づけを施す技を唯一持ち、
その柔らかい茶色のガラス食器の使いやすさは抜群。
窓ガラスに使われる板ガラスを原料にした
ライトラムネ色の再生ガラスとともに、
日々の暮らしで輝く伝統の琉球ガラスの器です。
炉の熱さで顔が焼けます。赤黒いほっぺたをして、
一日無心にガラスを吹き続ける若い職人の汗の結晶です。
沖縄の手仕事がこれだけ今も盛んな理由の1つは、県内でそれらが普通に使われていること。
はて、自分の土地はどうでしょうか。
各地の良い手仕事が自分の暮らしにとけ込んでくると、自分の土地のものも知りたくなるもの。
沖縄の手仕事をきっかけに、
自分の身の回りの手仕事を見直してみるのも良いものです。
またそうして地元の手仕事を守り、伝えていきたいものです。
手仕事の道具の心地よい温もりに守られて、
2012年が皆様にとって良い一年でありますように。