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2013年 中国 貴州省 少数民族の手仕事を求める旅4 トン族の手仕事
トン族の伝統的な集落は観光や暮らしの変化にさらされているけれど、
そんな中でまだ色濃く残る力強い手仕事もあります。
先に紹介した、肇兴、堂安、纪堂に加え、银谭(Yintan)、撕t(Zengchong)という集落も含め、
ここにご紹介します。
まず、民族衣装に使われる藍。藍染め。
これは各地一緒です。
しっかりと染まるまで染めを繰り返し、
トン族の場合、そうして出来上がった布を叩いていきます。
こうして、改めて見てみても藍染めは優しさや家族の想いのある染め物だな、と思います。
生活の変化の中でトン族も若い人は民族衣装を着ていなかったり、
市場かどこかで買ってきた既成の民族衣装を着ていたり、そんな状況も見られます。
この手間のかかる仕事がどこまで残っていけるものか。
これは堂安での一枚。普通軒先に吊るすのが一般的ですが、ここは広い場所があるからか、
こんなところで作業中。
布、それ自体も本来は手紡ぎ手織りの糸だったようですが、
今は撕tでは買ってきた糸を織って布に、
それ以外の場所では布も出来合いのものがほとんどでした。
これは撕tでの一コマ。親娘で作業中。
トン族の美しい藍、民族衣装。
トン族の中でも、これだけ村を回っても、美しいなと思える民族衣装の人は本当に少なかったのです。
それは、刺繍が奇抜な色だったり、どこかチグハグな着こなしだったり。
例えば、この人は肇兴で夜のトン族の歌、踊りのショーに出る人。
藍染めのピカピカ。新しいものはこんな感じなのか、と思うけど日常着じゃないので
なんだか飾り物っぽさが目立ちます。
(それでもこれは比較的伝統的な祭礼用の衣装に近いので良い方なのですが。)
そんな中で、美しいな、と思えたのがこの人達。
最後の一人は、この特集の最初にも使わせてもらった、撕tで出会ったおっちゃん。
パイプを吹かすその仕草がとてもかっこ良かったのはもちろんですが、
この衣装、襟や裾を見れば分かるよう、数枚が重ねられたもので、その藍染めのグラデーションが見事です。
実は古い衣装でこのタイプを見たことがあったのですが、
今回色々探してみたけど全然見つからなかった。
これ、探しています。
ご年配の方の日常着はそれぞれの体にあったもので、
日々の労働によって色んな箇所に味が出てきていて、もう見ているだけで嬉しくなる美しさ。
藍染めの村の問題点。
これらの村が今、共通して抱えているであろう問題があります。
それは水まわり。
もともとは流れがあったであろう、村の中、あるいは外を流れる川が、流れず滞留しています。
そこで藍染めを洗ったり、野菜を洗ったり、
そこには村人が様々なゴミを捨ててもいます。
水は澱み、異臭を放ち、極めて不衛生な環境になっていると言えます。
藍染めが原因でこうなっているわけではないのですが、
良い手仕事を未来につないでいく、という意味ではとても大きな問題と言えます。
次は苗(ミャオ)族の集落に戻ります。