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中国貴州省

2013年 中国 貴州省 少数民族の手仕事を求める旅7 苗族の芦笙祭



訪れた2013年の10月後半は、
ちょうど一年に一度の芦笙祭と呼ばれる苗族のお祭りが二カ所の町で開催されていました。
どちらもメインの日程ではなかったものの、その雰囲気は十分に味わう事ができました。


芦笙祭とは、芦笙と呼ばれる伝統の楽器の演奏を中心にして、近隣の苗族が集まって来る一大イベントです。
女は楽器を吹き、正装し、踊り。男は闘牛や競馬を楽しみに。そして名物の犬鍋をつついて酔っぱらう。
祭は主に2日間で、その2日は苗族だけでなく、漢族、そして中国国内外の観光客でにぎわいます。



重安の苗族の芦笙祭



革家の人達の藍染めが美しかった麻塘からそう遠くない黄平県の重安(Chong'an)の祭を先に訪れました。

「重安江"9.26"民族集会」あちこちに垂れ幕がかかります。
町の近くに近づくともう車やバスがいっぱい。
あちこちから本当に人が近づいているんだ、とわかります。
前年、川を舟で下ってきた人達の舟が沈み、人が亡くなる事故があったとかで、
かなり多くの警察が祭の入り口近辺で警備をしています。


中国貴州省


写真上:祭の入り口。幹線道路から会場まで数百メートル。道路沿い、そして会場の至る所に屋台。
写真下:犬鍋と犬鍋の屋台。もともと貴州省は寒いので犬をよく食べる、そして四川に近い辛い料理の産地。


犬鍋の屋台は規模が大きく、店頭でぐつぐつと鍋を煮込み、その横に内蔵を出された犬が沢山。
よほど売れるのだと思います。
その奥にはテントで、人が絶えず、皆焼酎を飲みながら鍋を食べます。


祭の会場は、芦笙を演奏して踊るスペース、そしてその横では素人カラオケ大会。
その奥で闘牛、そして競馬。
至る所に売店があり、闘牛場の近くでは賭け事の屋台も多数。


中国貴州省


写真上:闘牛会場の様子。闘牛自体は結構ぐだぐだな感じで、待てど暮らせど始まらない、という感じ。
それでも前で見たい人達はぬかるんだ足元の場所に2時間はぼけーっと座っている。
ひまわりの種の売り子やら、簡易座布団売りみたいな商売が盛況。

革家の人達に似た民族衣装の人達がいるが、これも苗族。



闘牛は始まったものの、全然見えなかった(笑)ので、芦笙を演奏している方へ戻る。


こちらは民族衣装のオンパレードだが、果たしてこの正装はいつからなのだろうか。
手紡ぎ手織りの糸で天然の染めだったころはどんな衣装だったのだろうか。

苗族の民族衣装に「???」が浮かんだ時間。


中国貴州省


芦笙の演奏の方はと言えば、特に仕切りの人がいる訳でもなく、銘々勝手に集まってきて勝手に踊りだす。
ゆるい。どこまでもゆるい。


中国貴州省



踊りだすと、その真ん中に踊り子さん達は荷物をまとめて置いていて、
その回りに人が集まってきて撮影が始まる。
自由で、不思議な空間。


笛の音もちょっと調子外れっぽい感じだったり、まとまっていたり、
なんだか面白い。



谷陇の苗族の芦笙祭



重安に行った翌日、今度は谷陇(Gulong)へ。
実はこの日、祭会場へ向かう途中に自分の乗っていた車が交通事故に合い、
なかなか大変だったのですが、(こちらのドライバーも相手もも大きな怪我は無し)、
こちらは重安より更に人気が高いらしく、町の数キロ手前からもう車が動きません。


こちらは、「中国 黄平 谷陇"9.27"苗族芦笙会」。
ちょっとこちらの方がタイトルが大きい感じですね。


中国貴州省


メイン会場はなんと中学校の敷地。笑
出店とステージと。
そしてその脇の広場で芦笙と踊り。
向かいの休耕地で闘牛、といった感じです。


生憎、雨と時間が悪かったのか、行ったタイミングでは芦笙や踊りはあまり見られず、
しかし闘牛はまさにクライマックスでした。


中国貴州省


車を降りて、下り坂を町に向かいます。大勢の人が歩いているのですが、
町に入り、会場が見えて来ると唖然。どれだけの人がいるでしょうか。

闘牛会場、そしてメイン会場。
人、人、人。


闘牛は男達の歓声。
そしてそれが終わると1000人はゆうにいるであろう人達が一気にメイン会場や屋台に向かって移動。


中国貴州省


途端に身動きが取れなくなります。

休耕地は悪天候で、泥まみれ。とにかく滑ります。
あちこちで手に手を取り合って、のろのろと移動。こりゃ大変。

正装に身を包んだ女性達は本当に大変そうですが、
一年に一度のお祭りだからか、楽しそう。


中には、少数民族か漢民族かわかりませんが、イケイケの若者もいます。


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犬鍋食べながら大笑いしているお年寄りからすると「ったく今の若者は…」って感じなのでしょうか。
彼らは一様に髪を赤や金、緑といった色に染めて、精一杯のお洒落を決め込んでいます。


お祭りは血が騒ぐ、といったところでしょうか。



女性達の着飾りぶりは前日の重安以上で、子供達も含め、目を見張る衣装が沢山です。
子供達は帽子だけの子もいれば、大人顔負けで全身コーディネイトの子供も。
夕方には多くの子供が寝てしまってぐったり。可愛らしいものです。


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女性達は、青、赤、緑、など原色の上下セットアップをベースにしています。
スカートの丈や刺繍、銀細工などそれぞれに個性がありますが、
大方10名から数十名で同じ衣装を揃えて(時には靴も!)ここにやってきます。


中国貴州省


そんな中でひときわ目立っていたのがこの衣装。


中国貴州省


重くてか、ズレてしまうのか、うまく歩けないようで、
友人が付き添って歩いてきていました。

写真を撮られるのは嬉しいのか、止まってポーズをする余裕も。



後々、そうだ、日本の成人式みたいだ…。と何となく思いました。


しかし、これらの衣装どうやって作っていたのか、気になっていたのです。
生地からしても、それぞれ1つずつ手作りではなさそうだし。


すると、凯里の市場の中でそれを見つけました。
なんと、こういう衣装をセミオーダーで販売するお店が沢山あるのです。

きっと、毎年か何年に一度かそういうところで購入するのでしょう。

店内には装飾をする前、あるいは少々装飾が施された衣装が壁一面に並んでいます。


ガッカリではあるのですが、すこぶる納得。


こういう祭が素朴で、衣装も美しかった頃ってどんなだったのか、気になるところです。



こうして、祭をクライマックスに今回の貴州省の少数民族の手仕事を巡る旅は終わりました。


最後はお待ちかね(?)貴州省の料理の特集です。



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