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ウイグル族や周辺少数民族の民藝・手仕事
先述した通り、この地域の手仕事は多くはない。
ウルムチもカシュガルも、またその他の町も、驚くほど近代化が進んでいて、
その中で手仕事が失われていったのであろうことは想像に難くない。
が、わずかに残るそれらはだからこそなのか、際立って美しいものが多かったように思います。
ウイグル族の銅細工・真鍮細工
この地方では伝統的に銅をたたき出した調理器具(鍋など)や、
彫りを入れた供え物や、お茶のための道具などが見られます。
カシュガルでは職人街と呼ばれるエリアや、その周辺の旧市街地に今も現役の職人が集まっています。
職人街に行く前、旧市街をふらふらしていると、ある路地で向こうから、
「カンカン」と音が聞こえてきて、
もしや、と思うとやはりこれでした。
鍛金(たんきん)、というこの技術、
本当に見ていて感心してしまいます。
皆、売店を併設しながら、作業は店の前。
こんなにオープンな工房、どこにあるでしょうか。笑
ある人は叩き、ある人は彫り。それぞれに仕事をしていますが、
中にはそれが合わさったようなものもあり、
今はお土産になっているものもあるから、なかなか需要があるようです。
職人はホリの深いウイグル人ですが、年齢は様々。男性しかいませんが、
まだ高校生くらいかな、というぐらいの子から、熟練の60代とおぼしき職人まで。
もちろん真面目にやっているんですが、どこかのんびり感があり、
話しかけても全然大丈夫そうな(言葉が出来ないので話しかけられませんが…)
綺麗な銅鍋がやはり定番なようです。
共手の小さな銅鍋などは、パキスタンあたりでカラヒと呼ばれる、
カレーを作る鍋にもそっくりで、ここがパキスタンと隣接している地域なのだ、と
思わず一人で感慨深くなりました。
本物の絨毯
8つの国と隣接している新疆ウイグル自治区。
モンゴル・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・アフガニスタン・パキスタン・インド。
そして、主要な民族だけで13民族、と言われています。
シルクロード、中央アジアや中東、と言えば絨毯(キリム・ガベなど)のイメージが強いかもしれませんが、
そういった国と隣接、そしてそういった民族が暮らすこの地域にも沢山の種類の絨毯があります。
前のページで書いたように、現行のものは大半がキツい色合いの化学染料を用い、
機械織りをしているものですが、
古いものは本当に素晴らしい手織り・天然染めのものがあります。
カシュガルのある絨毯商の話では、これらは国境が無かった頃から、様々な人達の手により運ばれ、
売り買いされてきたものなんだとか。
上の写真は新品のもの、古いものどちらも混ざっています。
今も良いものを作る人が少しはいます。
羊毛(ウール)のものもあれば、らくだの毛(キャメルウール)のものもあります。
キャメルウールはざくっとした粗めで深めの触感。これも良いです。
個人的にはウイグル族のウールのものと、キルギス族のキャメルウールのものを買いました。
どちらも古いもの。素晴らしく、気に入っています。
この土地は、かつて非常に行きにくかった土地なので、
これらの手仕事の情報は少なく、老舗民藝店などでも扱いがほとんどありません。
良いものを持って帰れれば嬉しいのですが、何せ遠い。
海岸までどれだけの距離があるのだろうか。
航空便ならどれだけのコストが掛かるだろうか。
沢山の買付けをするにはとても躊躇われる土地ではありますが、
小さめの絨毯なら何十枚か、いつか買い付けたい。とは思っています。
この旅の最後はカラコルムハイウェイの絶景をご紹介して終わりにしましょう。