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2013年 ベトナム ハザン省 少数民族を巡る旅3 モン族を追いかけて
驚くべき事ですが、写真のような棚田がベトナムの山岳地帯では増え続けています。
山岳地帯に住むモン族(H'Mông)は都会よりも、そして道路沿いよりも山を好みます。
あえてこんなところに住まなくても…と思うようなところにばかり集落があります。
水をくむ、田畑に行く、学校へ行く…。モン族はいったいこの山道を一日何キロ歩くのか、と途方に暮れます。
このエリアでは車を降り、半日山道を歩き、いくつもの村を尋ねましたが、
どこも暮らしは簡素なもの。モン語で気さくに話しかけてきますが、こちらはモン語がわかりません。
政府が灌漑設備を徐々に徐々に山岳地帯まで広げてきていますから、
そうした場所にはどんどんモン族が田んぼを作っていきます。
山に住みたいモン族ですから、機械が使えないような山の棚田でも全然問題ないそうなのです。
(基本は自分たちが食べていけるだけの米が取れれば良い。)
未だに岩場の崖にトウモロコシを育てて(要するに米を育てる事ができない地域)生活しているモン族も
まだまだたくさんいますから、
この流れはまだまだ加速するようで、そんな理由で棚田が増えているのです。
(個人的ベスト棚田スポットはイエンバイ省のムーカンチャイ(Mù Cang Chải)ですが、
いつかこれもどこかの新しい棚田に取って代わられるかもしれません。)
写真上:まだ稲作が出来ない地域。しかしここはまだ比較的土壌が豊かで、大豆とトウモロコシを育てられる。
写真上段左:山間の集落。小さな学校も。写真上段右:崖には収穫後のトウモロコシと山羊。このエリアは水牛は少ない。
写真中段左:背負い籠の中にはポリタンクに水。自分も水浴び。中段中:大豆。中段右:モン族の兄弟。
写真下段:子供達や女性は歩き、大人の男は原付で移動。一歩操作を間違えば谷底、というところでもバイクは欠かせない。
モン族は小柄。
ところで、この地域のモン族を見ていると、とても小柄なことに気付きます。
女性は成人でも150cmあるかどうか、という人がほとんどで、
男性でも160cmあるかどうか、そんなくらいの人がとても多いです。
下の写真のように、子供も女性もよく働く。
よく働く、とは失礼かもしれない。生きるため。生きるため。
まだトウモロコシが主食で(それも日本のものに比べたらとても身の付き方が悪い。)、
幼少期から十分な栄養が行き渡らないのだろうな、と想像がつく。
棚田が増えればあと1、2世代ではモン族も食生活は豊かになるだろうか。
都会に出れば少なくともモノはあるのに、都会と言わずとももう少し山から里に近づけば、
と思うのだけど彼らのアイデンティティがそうさせないのだろうか。
ともあれそんな訳で、彼らには素朴な、力強い暮らしが残っているとも言えるので、
こちらとしては何とも言えない複雑な気持ちになる。
2011, 2012年と連続して訪問してきたラオカイ省の黒モン族と比べると、こちらのモン族は、
白モン族や青モン族が中心になりますが、
独特の衣装を身につけてはいるものの、伝統的な麻を用いた衣装を着ている人はほとんどいません。
女性は総柄、あるいはラインの入ったスカートを身につけ、
男性は綿の藍染めの(多くは出来合いの生地から作られる)チャイナ風のジャケット。
ちょうど訪問した時期(9月中下旬)からが棚田は稲刈りの時期。
標高や地域によってズレますが、9月から10月はベトナムの東北部を旅するにはベストシーズンです。
男も女も、子供も総出で収穫の作業をします。
女が刈り取り、男が脱穀する。どうやらそんな役割でやっているようです。
次は、モン族や他の少数民族が週に一度、町に集まって開催される「市」(マーケット)を尋ねます。